書面添付制度については別掲で触れましたが、今回はどんなことを書くのかというお話をしたいと思います。
まず最初にご説明したいのは、この書面は税理士が作成するものなので、お客様の手を煩わせることはありません。また、決算書作成報酬とは別に書面添付書面の作成報酬を頂く会計事務所もあるようですが、弊事務所では書面添付書面の作成はルーティンのサービスと位置づけていますので、その作成に関して報酬を頂くことはありません。
さて、書面添付制度における添付書面の概略ですが、
1. どんな帳簿書類等の提示を受け、どのように確認したのかということ
2. 前年と比べて顕著な増減事項があった場合、その理由について
3. 会計処理方法に変更事項があった場合、その内容について
4. 毎月々の巡回監査を通じて、お客様からご相談をうけた内容について
5. まとめとしての総合所見
を簡潔に記載します。
最も重要かつ、税務調査省略の要因となる事項は、2の顕著な増減事項に関して記載することです。例えば、前期と比べて今期はなぜこんなに売上、利益、利益率が変動したのか。通年変動することが比較的少ない地代家賃や租税公課などが大きく変動している場合。人件費や外注費が大きく変動している場合などがこれに該当します。その理由について明確に記載することにより、税務署サイドの疑念を減らすことはもちろん、経営者がその原因をきちんと把握している証にもなります。
4についてのメジャーどころとしては、役員報酬を増減する場合や貸し倒れが発生してしまった場合などの税法や通達に準拠した処理方法についての相談などが挙げられます。3については、昨今、別掲の新しい会計ルールである「中小企業会計要領」への変更について記載することが多くなりました。
また、書面添付書面は税目毎に作成しますので、消費税がある場合には、もちろん消費税についても作成します。こちらは、個別対応方式と一括比例配分方式や、本則課税と簡易課税などの有利不利判定について記載することが多いです。
総合所見については、こんなソフトを使用して、毎月どのような巡回監査をしているのか、経営者は会計事務所サイドの巡回監査に誠実に対応していることなどを記載します。
書面添付書面には、一定の目安はあっても、こう記載しなければならないというルールは無いので、特に総合所見には、経営者や経営者をサポートする我々税理士の熱い思いを乗せて記載しています。この書面添付制度を深く理解して頂いている金融機関などは、融資審査の段階で、定量分析(数字の分析)に加えてする定性分析(数値以外の客観的な分析)にこの書面添付書面を参考にして頂いています。