税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 第1章で、バブル期にマンションを建てた土地オーナーの中には、金融機関からの借入金の返済が思うようにいかず、にっちもさっちもいかない状態に陥っている人が少なくないことについて触れました。

 法人化は、このようなケースにおいて、借入金を効果的に返済し、再生を図る手段としても活用することができます。

 まず、マンションについては、鑑定評価を受けたうえで代金を定めて、法人に売却します。マンションの時価は帳簿価格より低くなっているケースが多いので、法人に売却した結果として売却損が生じることになります。

 また、利用していない遊休地、たとえば耕作していない農地などがあれば、生産緑地を解除するなどして売却します。この場合、土地については売却益が生じます。そして、譲渡所得税も生じます。

 そこで、建物を売って生じたマイナス(売却損)と、土地を売ったプラス(売却益)とをぶつけます。つまり、相殺するわけです。

 こうして得たプラス分で、借入金をある程度返済して、残額を法人に引き継がせることにより、賽銭の道筋を作っていくわけです。

 このように、「法人化」は、相続対策にとどまらず、多用な活用方法が考えられます。ぜひ、前向きに検討してみてください。

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