相続を円満に行い、先祖代々守ってきた土地を子孫に伝えるためには、ここまでみてきたような不誠実な業者などに食い物にされないことや、相続税に不慣れな税理士に誤って依頼しないことが大切となります。
そのためには、いざ相続となった時に慌てないよう、十分な相続対策を事前に行っておくことが不可欠となるでしょう。
具体的に相続対策を進めていくうえでは、次のような3つのステップをふむことをお勧めします(図表2−3参照)。
まず第1ステップは、現状分析です。
ここでは主な作業として、
1−1 財産評価
1−2 相続税の試算(シミュレーション)
1−3 相続人の人間関係の把握
を行うことになります。
第2ステップでは、右の現状分析をもとにして、所有する財産を3つに分類し、イメージ作りを行います。
2−1 死守する財産(自宅・有活地等)
2−2 有効活用要判定財産
2−3 納税用財産(売却予定)
の3つに分類します。
ここでは、「第1ステップで計算された相続税の納税額を支払うためには、どうしなければならないか」というイメージを持つことが重要となります。
第3ステップでは、そのようなイメージを掴んだうえで資産防衛対策を考えます。ここでは、
3−1 財産の分割の視点
3−2 節税の視点
3−3 納税の視点
3−4 税務申告・調査の視点
という4つの視点で具体的に相続対策を行っていきます。
事務所が関与した近年の相続を振り返ってみると、財産評価や相続税の納税のことよりも、相続人の間で財産を分割することがいかに困難であるかを痛切に感じます。その分割をスムーズに行うための対策も重要です。具体的には、正式なルールにのっとった「遺言書」などを準備することがあげられます。
以下では、第1ステップ、第2ステップの具体的な内容について説明し、残る第3ステップの詳細については、章をあらためて解説しましょう。
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