税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 銀行のサービスについても一言触れておきたいと思います。

 銀行等が提供している数々の相続関連サービスそのものには、もちろん不当な点や違法なところはありません。

 しかし、その中には、相続人の立場になってみたときに、果たして十分な費用対効果があるといえるかどうか疑わしいものが含まれているのも事実です。

 地主の方々の中には、信託銀行などから、「ぜひ、当行に遺言書の保管と執行をお任せください」などと勧められたことがある人もいるでしょう。

 当然、それらは無料で行ってくれるわけではなく、遺言執行時や遺産整理業務時には、多額の費用を請求されることがあります。

 しかし、これらのサービスを、それだけのお金を払って銀行に依頼する意味があるかどうかは、慎重に検討した方がよいでしょう。

 そもそも、遺言書の保管や執行を、あえて銀行に任せることにそれほど大きなメリットはありません。

 たとえば、公正証書遺言は仮に紛失したとしても、公証役場で簡単に謄本を発行してもらえます。

 つまり、遺言書を第三者に保管してもらう必要など全くないのです。

 また、遺言書の執行にしても、一般的に、税理士の方が銀行よりはるかに安い費用で行ってくれます。

 特に、これまで取引のなかったような銀行がスポット(単発)で遺言書関連のサービスについて話をもちかけてきたような場合には、その費用が不当に高くないか、念のため税理士など他の専門家に依頼した場合の費用と比較するなどしてチェックしてみることをお勧めします。

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