業者に言われるがままにマンション、アパートを建てている地主の中には、全く収支の観念がない人がいます。
ある確定申告業務だけを契約しているクライアントから、「今年、こんなのを建てたのですよ」と、得意げな様子でマンションを建てたことを打ち明けられたことがあります。
しかし、よくよく話を聞いてみると、建築資金は全額借り入れをしており、入ってきた家賃収入はそのまま元本と利息の返済に消えていくばかりで、手元には全く現金が残らないようでした。
それでも、当人は、「20数年後にローンの返済が終われば、マンションは残るから」と全く気にしていない様子です。
しかし、借り入れのうち元本部分は経費になりません。つまり、家賃収入のうち、少なくとも元本を返済する部分については、「利益」とみなされ税金がかかってくることになります。「所得税はどうするのですか?それから、住民税も支払わなければなりませんよ。でも、納められるだけの現金収入がありませんよね」私がそう言うと、途端にクライアントの顔色がさーっと変わりました。
事前に相談してもらっていれば、無計画にマンションを建てさせるようなことはしなかったのにと思いましたが、建ててしまった後ではもはやどうしようもありません。
そのような建築計画は事前の相談が肝心です。
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