税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 
また、農地等の納税猶予を受ける場合には、それがもろ刃の剣であることも十分に意識しておくべきです。

 たとえば、親の死をきっかけとして、それまでサラリーマンとして働いていたような人が農業を継ぐことを決めた場合、巨額の相続税が猶予されるのは大変な魅力であるように思えます。

 しかし、いったん納税猶予を選んでしまうと、いざ土地を有効活用しようとしたときに、それができなくなるおそれもあるのです。

 たとえば、農地について生産緑地の指定を受けていて、相続の際に、相続税について2000万円の納税猶予を受けているとしましょう。仮に、10年後にそこを有効活用したいと思い生産緑地を解除しようとすれば、猶予されている2000万円はもちろん、あわせて何百万円もの利子税を支払わなければなりません。

 利子税は時間の経過によって、どんどん加算されていくので、10年間ともなれば大変な金額になります。

 場合によっては、利子税の負担が重すぎて、生産緑地の解除をあきらめる、すなわち土地の有効活用を断念せざるをえなくなるかもしれません。

 したがって、納税猶予の申請は、将来的な土地の有効活用の可能性も十分に検討したうえで、よくよく考えてから行う必要があります。

次のページ : 生産緑地の解除が認められないおそれもある
前のページ : 農家は税制面では優遇されているが・・・
地主のための相続対策 もくじ
土田会計事務所の資産防衛サポート