そのような観点から、私が実際にサポートして、相続人にとっておそらく満足のいく成果を得ることに成功した例を一つ紹介しましょう。
そのケースでは、亡くなった夫の土地等を息子とともに相続した妻が、成年被後見人となっていました。
依頼人である息子は相続した土地の上にファミリーレストランの店舗を建てて有効利用することを望んでいたので、その店舗の建設費用等は母親に一切負担させない仕組みを考案しました。
具体的には、まず、土地が二人の共有状態となって土地を分割し共有していたのを解消しました。そして、ファミリーレストランの店舗が建つところが息子のものに、また駐車場となるところが母親のものになるように分けました(図表4−1参照)。
そして、店舗、駐車場それぞれの土地について、息子と母親が別々に賃貸借契約を結べるような形に整えていきました(賃貸収入として、息子には100万円、駐車場収入として母親には50万円が入る計算でした)。
この例のように、成年被後見人にとっては経済的な負担がなく、収入が増えるだけの仕組みを作り上げることができれば、成年後見監督人の同意を得られる可能性が高まるはずです。
逆に言えば、家長が成年被後見人となってしまったような場合には、そのような仕組みを組み立てられる税理士にサポートを依頼することが必要となるかもしれません。
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