これを、逆に考えてみれば、「そもそも、なぜ都市農家において相続争いが起きるのか」というその理由の一端が見えてきます。
先に触れたように、農家においては、家長が亡くなった後、本家を継いだ長兄が農地を含めた財産のほとんどを相続するのが一般的です。
では、この長兄が、後を継ぎながら農業に身を入れず、大枚をはたいて購入した高級外車を乗り回したり、盛んに海外旅行に行くなど、はたから見れば遊び暮らしているような生活を送ったとしたら、他の兄弟姉妹はどう思うでしょうか。
そもそも、父親の残した家や土地を長兄に継がせたのは、長兄が本家をしっかりと守っていくと信じたからです。
それなのに、先祖代々の家業である農業をおろそかにし、いわば自分たちが黙って譲り渡した財産を使って好き勝手な暮らしをしていれば、「このままでは兄貴が本家の財産を使い尽くしてしまうぞ……」「何だ、遊んでばかりいやがって! こんなことならもらえたはずのものを、しっかりともらっておけばよかった」などというような形で、長兄に対する不安や不満、不信感が生まれてくるはずです。
そのような負の感情がつもり重なっていき、次の相続の機会に、たとえば、まず父親が亡くなった場合であれば、母親の死亡した際の相続の時に爆発して、激しい相続争いをもたらす引き金となるのです。
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