積極的に活用している税理士の数がまだ少ないこともあって、書面添付制度については、一般の納税者の方にはあまりなじみがないかもしれません。
書面添付制度とは、税理士法第33条の2に基づき、税理士が申告書に「申告書の適正性を表面する書面」、つまり「カルテ」のようなものを添付する制度をいいます。
この制度の目的は、税理士が申告書の作成に関してどの程度関与し、どのように調整したものであるかを積極的に明らかにすることによって、より正確な申告書を作成して提出するとともに税務当局においても税理士が責任を持って計算し、整理し、または相談に応じた事項についてはこれを尊重することによって税務行政の円滑化と簡素化を図ることにあります。
申告書に税理士法33条の2の書面が添付されると「税務調査をするには、書面を添付した税理士の意見をきかなければならない(税理士法第35条)」ことになっています。
また、意見を聞いたうえで調査の必要がないと認められた場合には、税理士に対し「現時点では調査に移行しない」旨の「調査省略通知」が送付されます。
つまり、書面添付制度を利用し、きちんとした申告書を提出していれば突然の税務調査におびえる必要がなくなるわけです。税務調査は法人であれば2〜3日、個人であれば所得税や相続税の調査に1日時間をとられることになります。その準備等を含めれば、非常に大きな時間と手間をとられてしまいます。
そのようなh樹たんの大きい税務調査が省略される可能性自体が、書面添付制度の最も大きなメリットといえます。
しかも、添付する書面、すなわち書面添付書面は、税理士が作成するものなので、依頼人の手を煩わせることはありません。
その費用を請求するか否かは事務所の方針によって異なります。ちなみに、私の事務所では書面添付書面の作成はルーティンのサービスと位置づけているので、その作成に関して報酬をいただくことはありません。
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