税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 法人が設立済みの場合、通常、被相続人は役員として法人に対して貸付金を有していることが多いでしょう(ことに法人が恒常的に赤字状態の場合)。その貸付金を、被相続人の存命中に債権放棄しておくのです。

 もし貸付金をそのままにしておけば、被相続人の死後、相続財産を構成し、課税対象となります。

 たとえば、法人に対して1億円の貸付金があれば、それに対しても相続税がかかってくることになるわけです。

 法人の赤字が続いているような状態の場合、貸付金は返済される可能性が低いでしょうから、ほとんど無価値です。にもかかわらず、そのような価値のない債権を価値のあるものと評価され、相続税を支払う羽目になるのはばかげています。

 あらかじめ債権放棄をしておき、余計な相続税の負担を負わせないようにしておくことが合理的なのは明らかです。

 放棄する債権の額にもよりますが、驚くほど相続税の額が変わることがあります。

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