具体的には、贈与税の仕組みを利用して節税対策を図ることになります。
贈与税については、110万円の基礎控除が認められています。つまり、贈与を受けた財産の額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。この仕組みを利用することにより、毎年、財産を長期にわたって贈与するという方法で税負担を軽減することが可能となります。
最もシンプルなのは、毎年110万円の範囲内で財産を子や孫に贈与していくやり方でしょう。これなら、贈与税はゼロ円ですし、もちろん贈与した財産については相続税がかかりません。ただし連年贈与として贈与した初年度に連年の合計額を贈与したとみなされないように、注意が必要です。
また、直系尊属から毎年520万円相当の財産を贈与するというやり方も考えられます(平成27年1月1日以降の特別贈与)。この場合、贈与税として52万円かかりますが、贈与せずに相続税が課された場合でも相続税が課された場合でも相続税として52万円の負担を負うことになります(相続税の最低税率が10%であるため)。
つまり、贈与しようがしまいが、結局は、同じ額の税金を支払わなければならないことになるわけです。
逆に言えば、生前にできるだけ贈与をしておきたいと考えるのであれば、520万円という金額が、税金面での損得を考えるうえでの目安となります。
ちなみに、私は依頼人に対して200万円ずつ贈与することをお勧めしています。200万円の場合、贈与税は9万円です。
「200万円も贈与して、税金が10万円にも満たない」このような事実を知ると、得をしたような気分となり、節税効果をリアルに実感できる人が多いからです。
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