税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 なお、たとえば、兄弟A、Bが共有名義のままマンションを経営していて、家賃の入金口座はAの口座を使っているような場合、その口座から家賃収入以外にも、固定資産税の引き落としや所得税や住民税の納税など様々な出金をしており、共有者各人の個別の用途にも使われているケースがあります。

 この場合、Aについて相続が発生したときに、Aの預貯金の相続財産計上額をいくらにすべきかが問題となるかもしれません。

 毎月精算していれば、相続のあった月の精算を済ませてから預貯金残高に共有割合を掛ければよいのですが、共有者間で長年精算をしていない場合は預貯金の相続財産計上額を確定させるのが非常に困難となります。それまで行われてきた数多くの入出金の中身や、領収書や計算書の類いがあるかなどを後から把握するのは不可能といってよいでしょう。結局は不明金を相続財産に参入せざるを得なくなり、余計な出費が生じるおそれがあります。

 もし、何らかの理由でどうしても共有状態を続けなければならないとしたら、適正な申告をするためにも毎月、しっかりと精算しておくことをお勧めします。

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