税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 
さらに言えば、そもそも、生産緑地の解除を受けることも、現状では、決してたやすくはありません。

 これは農地(緑地)保全の立場から生産緑地の解除を認めることに対して、行政側が非常に消極的なためです。

 とりわけ東京においては、農地を減らさないことを基本方針としている都が、「生産緑地をこれ以上少なくしないように!」と各市区町村に有形無形のプレッシャーをかけています。

 したがって、本来、所定の要件を満たしてさえいれば、生産緑地の解除ができるはずなのに、「生産緑地の解除は一生に一度きり、しかも全部解除すること」などと、独自の条例を制定して、生産緑地の解除を制度的に困難にしている自治体も現れています。

 「腰痛なので農業はもうできない」などといった医師のお墨付きがあるような場合は別として、単に土地を有効活用したいという理由では、解除の申し出を受け入れてくれないことは間違いありません。

 このように、農地を安易に生産緑地にしてしまうと、のちのちその解除が困難となるリスクがあるのですが、かといって、そうせずにいれば高額の固定資産税を支払わなければなりません。

 「生産緑地にすべきか、否か・・・」都市農家は、何とも難しいジレンマに直面することを余儀なくされるわけです。

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