滝口雅之
滝口雅之
 非上場企業の大半である中小企業のための新しい会計ルールとして昨年の春に策定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」)ですが、公表から1年が過ぎました。弊社のクライアントの大半もこの要領の理解が進み、導入が図られつつあります。
(「中小会計要領」の策定された経緯、その目的につきましては『中小企業庁の新会計ルール「中小会計要領」』をご覧下さい)

 そんな中、中小企業庁は今年に入り中小企業の財務経営力の強化を目的として新たな方針を公表いたしました。すなわち融資の際、税理士、公認会計士等が「中小会計要領」に従って計算書類を作成している旨の所定の書類を信用保証協会に提出すると、保証料率が0.1%割り引かれる制度です。この制度は平成28年3月末までに申し込んだ分について適用されます。(なお、本割引制度の対象とならない信用保証制度も一部ありますのでご注意ください)

さて、提出が求められる書類は、
1)「中小会計要領」の適用に関するチェックリスト」
2)『「中小企業の会計に関する基本要領」に基づく保証料割引制度の利用に関する確認・同意書』
の2つです。

 まず「中小会計要領」の適用に関するチェックリスト」。これは「中小会計要領」に基づいた会計処理により決算書の作成が行われているかのチェックシートで15項目からなっております。また、末尾には「所見」欄が設けられており、経営者は積極的にこの所見欄を使って自身の経営姿勢や会社の将来性、技術力などを記載しアピールするとよいでしょう。

 次に『「中小企業の会計に関する基本要領」に基づく保証料割引制度の利用に関する確認・同意書』は、その会社が当該保証料割引制度を利用する意思表示を明確にするのと同時に、チェックリストを作成した税理士等に、事実と異なる記載をした場合はその税理士等の個人情報を彼の属する業界団体や中小企業庁や全国信用保証協会連合会等に提供することに同意を求めています。

 以上のことから分かるとおり、これらの書類は金融機関から資金調達調達を受けようとしている中小企業の決算書が、適時に記帳された帳簿類から作成され、さらに従来の税法基準から脱却した「中小会計要領」が求めている会計処理に基づいて作成されたものであることを担保・保証する役目を担っているわけです。

 金融機関へ融資をお願いする際、保証料割引制度を利用しようとしてもチェックリストの該当する項目ですべて「YES」がつかないため、制度を利用できないというケースもこれから出てくることでしょう。

 従って、経営者もご自身の会社の決算書が中小会計要領の求めている基準をクリアしているのか確認し、またそうでない場合にはどのように改善を図っているのか顧問税理士と検討していく必要があります。