法人化のメリット(1)

税理士 宮崎純子
税理士 宮崎純子

 法人化のメリットとして、個人事業主一人に集中していた所得を、法人の役員全員に分散させることによって、所得税+法人税の総額を減少させることが挙げられます。個人事業主の場合でも、「青色事業専従者給与」の特典を使って、生計を同じくする親族への給料を経費に計上できます。しかし、あくまで労働の対価としての金額ですので、業務の内容や労働時間によって金額に制限が生じます。

 一方、役員報酬の金額は、法人の経営という委任契約に基づき支払われる責任の対価ですので、青色事業専従者給与より高い金額を支払うことは可能です。従って、節税効果が高くなるような所得分散、役員報酬の決定をすることが出来ます。

法人化のメリット(2)

 相続税の節税の観点からも、法人化による所得分散は有効です。法人の役員には、個人事業主の推定相続人となる方が就任される場合がほとんどです。個人事業主の所得として累積される相続財産を、法人に移転し、推定相続人に役員報酬として分配することによって、相続税財産を減らし、相続税納税準備資金を事前に確保することができます。

 なお、法人設立の際には事業承継される推定相続人の方に出資して頂き、株主となることをお勧めします。株主が法人の財産(株式)を所有することになるため、個人事業主の相続財産が推定相続人に移転し、結果的に相続税対策となるからです。勿論、個人事業主が出資して株主となった場合でも、推定相続人の方へ毎年株式を贈与することによって、相続財産の移転を行うことも出来ます。贈与税非課税の範囲内で毎年贈与することも可能です。

法人化のメリット(3)

 法人化のメリットとして、保険料や退職金の経費計上が可能という点も挙げられます。個人で生命保険に加入していても、最大12万円までしか所得控除できませんが、法人名義で加入すれば全額経費とすることが出来ます。(保険の種類によっては半額が積立金として資産計上となります。)また、この保険について、被保険者が亡くなって保険金が法人に支払われた場合でも、同額を死亡退職金として遺族に支払えば、保険金収入と退職金費用が発生するため、法人税はかかりません(但し勤続年数等に照らし不相当に高額な部分は費用になりません)。

 一方、この死亡退職金は500万円×法定相続人の数までが非課税となりますし、遺族はこの保険金を相続税の納税資金として充てられます。また、半額が積立金となるタイプの保険は、保険の解約返戻金が概ねピークとなるときに役員が退任するよう設定し、毎年の節税と退職金準備資金のための資産運用として大変効果的です。