土田 士明
土田 士明
 相続税の税務調査において、現金・預貯金等申告漏れが最も多いことはお話ししましたが、相続税を申告する際に死亡日現在の預貯金残高で申告すれば良いとお考えではないでしょうか。預貯金の相続財産計上額を確定するには、その預貯金の動きを把握しないといけません。死亡日直前に引き出した預貯金はありませんか。

 葬儀費用や当面の生活費などのために引き出しておいた現金は、死亡日にはご自宅にあったのではないでしょうか。これらは現金(若しくは直前引出預貯金)として相続財産に計上することになります。この他にも、家族への贈与や名義預金について税務調査で指摘を受けないためにも、過去の預貯金の動きを10年程度遡って把握することが必要です。通帳類は廃棄しないで保存しておいて下さい。

 ところが把握が困難な事例があります。家族共有名義のアパートを経営していて、家賃の入金口座は被相続人の口座を使っていたとしましょう。その口座からは家賃収入以外にも、固定資産税の引き落としや所得税や住民税の納税など様々な出金をしており、共有者各人の個別の用途にも使われている場合があります。この場合、被相続人の預貯金の相続財産計上額はいくらにすれば良いのでしょうか。

 毎月精算していれば、相続のあった月の精算を済ませてから預貯金残高に共有割合を掛ければ良いのですが、共有者間で長年精算をしていない場合は確定させるのが非常に困難です。数多くの入出金が何だったか、領収書や計算書の類があるかなど後から把握するのは不可能です。結局は不明金を相続財産に算入するなど余計な出費となる場合があります。適正な申告をするためにも毎月精算されることをおすすめします。