滝口雅之
滝口雅之
今年も早いもので年末調整の季節を迎えました。どこの会社でも給与受給者に渡す源泉徴収票の作成に追われているかと思います。この源泉徴収票、正確には「給与所得の源泉徴収票」と呼び、法定調書の一つです。

法定調書とは「法定」とある通り、所得税法、相続税法、租税特別措置法及び内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律などの法律の規定により税務署に提出が義務づけられている書類(調書)をいい、財務省のホームペーシを見ると実にその数はなんと57種類もあります。

そのうち私たちが普段目にしたり作成したりするので身近なものといえば、先に述べた「給与所得の源泉徴収票」の他、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」そして「公的年金等の源泉徴収票」などが挙げられますが、これ以外にも利子や配当、そして生命保険契約や損害保険契約に係る一時金、年金、満期返戻金についてもその支払者、すなわち金融機関等、生命保険会社や損害保険会社が所轄の税務署に所定の法定調書を作成・提出しております。

法定調書の目的は、支払者が1年間の支払いに関して支払先の氏名、住所、支払金額等を記載し税務署に提出することにより、税務署が適正な課税の確保を図ることを目的に支払事実を把握し、受給者が正しく所得を申告していることを確認するためのものです。近年、より複雑化・国際化する経済取引の実態を踏まえ、それを捕捉する目的で法定調書の数も増えている訳ですが、平成23年度と平成24年度の税制改正で創設された法定調書をみてもその傾向は明らかです。

そこで今回は2つの新しい法定調書をご紹介します。

まずは、平成23年度税制改正で創設された「金地金等の譲渡の対価の支払調書」です。これは、 平成24年1月1日以後の 金地金、白金地金、金貨、白金貨の譲渡で、売却金額が200万円を超える場合、その売買を取り扱う業者が当法定調書を作成・提出するものです。この提出義務により、売買取扱い業者は顧客に対して事前に「本人確認書類の提出を受けること」が義務付けられました。個人が金地金を売却した場合の所得は、原則『譲渡所得』として他の所得と合算して総合課税の対象とされます(個人が営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合の所得は、譲渡所得とはならずにその実態に応じて事業所得又は雑所得として総合課税の対象となります)。
現在の金相場からすると200万円という売却金額は、地金型金貨やコインはともかくすぐに超えてしまうような金額ですので、確定申告時にはこれらの譲渡所得の申告を忘れないようにしましょう。

次に、平成24年度税制改正では「国外財産調書」の提出制度が創設されました 。これは、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産 を有する者は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(「国外財産調書」)を翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならない、というものです。近年、国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れについては増加傾向にあり、これらの課税の適正化を図ることが目的です。

注意しなければいけないのは、「国外財産」の定義であり、「国外にある財産をいう」こととされておりますが、「国外にある」かどうかの判定については、財産の種類ごとに行うこととされています。具体的には、相続税法第10条第1項および第2項の定めるところにより判定することとされ、現預金、社債・株式や国債、不動産などそれぞれ所在を判定していく必要があります。また、その判定なども「今後具体的に判断する」(国税庁)とあり、新たな国債金融商品などは注意が必要でしょう。この調書制度はの適用は平成25年12月末時点の国外財産からとなり、最初の提出期日は平成26年3月15日となります。

以上、この2年間で新たに提出することとなった法定調書をご紹介しました。