所得税の確定申告の時期に、毎年多いご質問として「保険が満期となりましたが税金はかかりますか」といった内容のものが挙げられます。

税理士 宮崎純子
税理士 宮崎純子
満期保険金を一時金で受け取った場合には、一時所得になります。一時所得の金額は、受け取った保険金から既に払い込んだ保険料を差し引き、更に特別控除額50万円を差し引いた金額です。この金額を更に1/2にした後の金額が所得税の課税対象となります。従って、50万円を差し引いた後の金額がマイナスであれば、所得税はかかりません。満期保険金を年金で受領した場合には、雑所得になります。雑所得の金額は、受け取った年金から、その金額に対応する払込保険料を差し引いた金額です。

なお、満期保険金を新たな保険の一時払い保険料に充てる場合には、保険金を受け取った感覚があまりないため、確定申告が必要であるとの認識が薄くなりがちです。満期保険金の全額を保険料に充当する場合であっても一時所得の対象となりますので、必ず満期保険金の通知書等をご確認いただく必要があります。特にJA共済の建物更生共済は、転換による継続のお手続きが多く、満期共済金は転換後の積立共済掛金及び危険等共済掛金に充当されています。転換時には一時所得を計算する必要があるため、「返戻金等のご通知」及び「建物更生共済証書」を必ずご確認ください。

また、確定申告を行う時期についても注意が必要です。保険の満期日が到来し、満期保険金の通知を受けていても、保険金の受け取りがその翌年となってしまった場合。例えば、平成24年12月末までに満期日が到来し、平成25年1月以降に保険金を受け取った場合には、実際に保険金を受け取った平成25年分の確定申告ではなく、満期日の属する平成24年分の確定申告となりますのでご注意ください。一時所得の計上時期は、その支払を受けた日によるものとされていますが、その日前に支払者から通知されているものについては通知日、生命保険契約等に基づく一時金等についてはその支払を受けるべき事実が生じた日によるものとされています。

但し、これらの保険金について所得税が課税されるのは、保険料負担者と保険金受取人が同一人である場合です。保険料負担者が保険金受取人以外の場合、所得税ではなく贈与税がかかることとなります。保険料負担者、契約者、保険金受取人の課税関係については、所得税・贈与税・相続税の税目が絡みますので、契約内容について整理する必要があります。