税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 平成24年11月13日(火)吉祥寺第一ホテル飛鳥にて50周年記念事業第1弾、経営支援セミナー2012「決算書で自社を語ろう!」を開催しました。150名を越える参加者にご来場いただきました。

 今回のセミナーは、来年3月に中小企業金融円滑化法の期限が終了することによる影響の大きさを少しでもご理解頂く事を目的として開催しました。

 以下セミナー内容の要諦をお話しします。

 信用保証協会の保証付き融資の焦げ付きにより、24年3月までの1年間で、8,600億円もの代位弁済(融資を受けた企業が返済できなくなり、保証協会がその企業に代わって金融機関に返済すること。)がなされています。今まで国は金融検査マニュアルを改定してまで中小企業に対し手厚い支援をしてきました。本来ならば、この支援を受けている間に、売上や利益構造の改善をしていなければならなかったのですが、中小企業は自らの延命措置のために協会融資を繰り返し、また金融機関は自行の融資ではなく、審査のハードルが低い協会融資に依存していたため、結果として、このような大きな金額の代位弁済がなされ、その大部分に国費(結局は税金)が投入されています。

決算書で自社を語ろうセミナー

 そこで国は、中小企業の経営者に、自分の会社の経営内容をきちんと把握し、金融機関をはじめとする外部関係者にその経営内容を語れる「財務経営力」を付け、さらには「資金調達力」を強化する施策を打ち出したのです。しかしながら、いきなり中小企業の経営者に、「財務経営力」を付けろといっても、無理があります。そこで我々会計事務所が、経営者と一緒になって自社の現状把握から問題点の抽出、それに対する打ち手を検討する。そして、その打ち手を集約した「経営計画書」についてPDCAサイクルをまわすことにより、経営者の「財務経営力」を養っていきます。

 24年3月末現在で、中小企業金融円滑化法の適用を受け、リスケを利用している企業は、30~40万社(日経)、その金額は79兆円にも上ります。このうちどれくらいの金額が最終的に返済不能となるのでしょうか。野田政権はこの16日に解散を決めました。政争や尖閣・竹島をはじめとする外交・防衛問題、TPPの話題は連日報道されますが、ここでお話しした中小企業の危機的状況についての情報の発信は、世辞にも十分とは言えません。

 来年の3月が近づくと金融機関にリスケに関する相談が殺到するでしょう。30~40万社という件数を考えると、金融機関が十分に対応する時間はないはずです。金融機関に相談するには、必ず年内中にお願いします。そして来年4月以降の融資の審査は今までよりも厳しくなることが予想されますので、今現在財務状況が安定している中小企業の経営者の方々も、是非年内に手持ち資金を増やしておいてください。

 『日本の復興は中小企業の活性化から!』ご相談はお早めに。一緒に頑張りましょう!
 最後になりますが、セミナーにご参加頂きありがとうございました。