ここに死亡保険金の非課税限度額について衝撃のデータがあります。相続税の課税対象となった被相続人数52,572名のうち、相続財産に生命保険金等があった方は14,054名で、被相続人のうち相続税の課税対象となった方の実に約4分の1人しか死亡保険金の非課税限度額が活用されていないのです。(国税庁ホームページ「統計情報(平成24年分)より」)
ここでいう相続財産に生命保険金等あったという意味は、生命保険金の非課税限度額を目一杯使った方という意味ではなく、相続財産の中に、生命保険金等自体がなかったという意味です。
弊社の相続税の申告のうち、被相続人の年齢層で最も多いのは80歳以上です。この80歳というのが分岐点で、この方々が働き盛りの時代には、平均余命が近年ほど長くはなかったことに起因して、保険契約の満了年齢が、70代止まりであることが多いからだと分析しています。
また、生命保険金契約に加入していたとしても、数百万円のかんぽ生命の終身保険のみというケースが散見できます。
夫と妻、子ども2人の4人家族で、夫が死亡した場合の生命保険金の非課税限度額は、500万円×3人で1,500万円、言い換えれば、1,500万円までは生命保険金等を受け取っても、生命保険金等については相続税が課税されないということです。つまり、不動産や金融商品等で多額の相続税が課税される場合でも、この1,500万円は課税されることなく、納税資金や、相続人間の権利調整に充てることが可能です。
生命保険には、相続対策として活用できる4つの魅力があります。
①死亡保険金は原則「遺産分割対象外」であること
死亡保険金は、「受取人固有の財産」であるので、分割対象となる不動産や金融商品等とは違い、遺産分割対象とはならないので、遺留分の算定からも原則的に除かれます。
②「受取人指定」ができる
死亡保険金の受取人は指定することが可能なので、法定相続分などに縛られず、遺言書の機能と同様に、保険金に宛名を付けることができます。また、相続人ではない長男の奥さんや孫などにも財産分与が可能となります。(ただし、死亡保険金受取人の範囲内に限ります。)
③すぐに「現金化」できる
死亡保険金は現金で受け取れますので、不動産や金融商品のように換金化に時間がかかりません。
④「死亡保険金の非課税限度額」を活用できる
繰り返しになりますが、500万円×法定相続人の数の非課税限度額が適用可能です。
この機会に、相続対策として生命保険を活用しましょう