税理士 土田士朗
税理士 土田士朗
 先日テレビで「節税ビジネス」という特集を見て驚きました。来年からの相続税の増税を前に、節税ビジネスが加熱している様子をリポートしていたのですが、「これはまずいんじゃないの?」という場面がありました。仏具店で、純金製仏像・仏具の売上が3倍になっていると報じていたのです。

 原則的に、仏像・仏具などは相続税の非課税財産とされており、相続税は課税されません。その理由は、日常祖先を敬うなど、信仰の対象だからです。

 ところが、この放送をみると、あたかも純金の仏像・仏具は相続税がかからないように受け取れます。首をかしげながら、録画した特集をもう1回見直してみると、純金製の立派な仏像が映る画面の下のほうに小さく《課税される場合もあります》とクレジットが入っていました。しかしながら、「これに気づく人は少ないだろうな」と直感しました。

 某有名貴金属店のホームページを開くと、3000万円以上もする純金製の仏像が売られています。これを仏像だからと相続税の申告から除外しても、税務署はまず認めてくれないでしょう。いくらまでなら認めてくれるのか、判例がないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、純金という換金性の高い財産だけに、税務署も厳しい目を向けることになります。

 また、純金製の仏像・仏具などに関する判例がないのは、納税者に後ろめたさがあり、争う前に修正申告に応じてしまうからだとも言われています。

 先日の放送によって当局は、仏像・仏具などを使った節税に、より目を光らせることになるでしょう。貴金属店から購入リストを入手して、芋づる式に摘発とういことにもなりかねないので、こうした節税は考えない方が無難です。